結局兄はわたしの話に耳を貸さず、もちろん納得もせず、より態度を硬化させただけでした。
こうなるともう何を言っても無駄です。
とりあえず今回はこれで諦め、帰宅することにしました。

わたしたちの言い争いで初めてバリ島への移住を知った義理姉は、帰り際「いいわね、海外で悠々自適な老後なんて」と羨ましそうに言いました。
長男の嫁として義理母の面倒を看なければいけないと思っている義理姉にそう言われると、なんだか暗に責められているような気がしてしまいます。
そしてそう感じるのは、やはりわたしに後ろめたい気持ちがあるからでしょう。

帰宅したわたしの顔色を見るなり、主人はすべてを悟ったようでした。
「やはりわたしが行って、直接話した方が良かったんじゃないか?」と後悔している様子。
「一緒に行こうか」という主人の申し出を断ったのは、私自身すでに兄と口論になるであろうことが分かっていたからです。
みっともない兄弟喧嘩を、主人に見せたくはありません。
「とにかく今は何を言っても無駄だから、しばらく様子を見ることにするわ」、主人にはそう伝えました。

とは言うものの、このまま放っておくわけにもいきません。
最悪、兄に認めてもらえなくてもバリ島へ行ってしまおうかとも思いましたが、そんなことをすれば主人が悲しみます。
自分のせいで私たち兄弟が仲違いしてしまったと、自身を責めるでしょう。

end_of_life

兄は「自分たちだけ海外に行こうなんて、勝手だとは思わないのか」と言って、わたしを責めました。
けれど自分たちの今後の生活のことを考えて、なにがいけないのでしょう。
海外へ引っ越すことが(兄曰く)そんなに勝手なことなのでしょうか。

確かにわたしも、主人から最初にバリ島への移住話を聞かされた時は驚き、戸惑いました。
そして母や兄妹と離れてしまうことにも、抵抗がありました。
でも今は、それもわたしの人生だと受け入れています。
主人がそうしたいのなら、わたしは付いていくだけ。
わたしにとっていちばん大切なのは、母でも兄妹でもなく、主人なのですから。