今日の夕方、娘が訪ねてきました。

これまでは母や兄のことで頭がいっぱいだったため、バリ島への移住については娘に何も知らせていませんでした。
とは言えすでに航空券も手配したし、これが良い機会だと思ったので改めてわたしから話すことにしたのです。

娘が大好きなバリ島への移住に、羨ましがることはあっても反対するなどとは思ってもいなかったわたしは、最初娘からの言葉に反応できませんでした。

「どうしてそんな大事なこと、私に黙って決めるの!」、
怒っているような悲しんでいるような口調で娘はそう言いました。
「もっと話が具体的になったら、きちんと知らせるつもりだったのよ」
とわたしが言いわけすると、
「決める前に相談してくれたっていいでしょ!」とさらに怒られてしまいました。

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しかも祖母や伯父・叔母はすでに知っていたのに、娘である自分がまったく知らなかったという状況も腹立たしいようで、娘の怒りはおさまりそうにありません。

「おばあちゃんの世話を伯父さんや叔母さんに押し付けるの?」
「一人娘のわたしを残して平気なの?」
「そんな歳で今さら海外に引っ越して、そもそも暮らしていけるの?」、
娘の口から次々と意地悪な質問が飛び出してきます。

でもそれも仕方ありません。
娘が怒るのも心配するのも、もっともなのです。

母や兄のことに気を取られ、いちばん大切なはずの娘をないがしろにしてしまったのはわたしの責任です。
それに「娘なら反対はしないだろう」と、勝手に思い込んでいたのも事実です。
だからついつい後回しにしてしまい、結果的にそれが娘の心を傷つけてしまいました。

「結婚したらお母さんたちの近くに住んで、子どもができたらちょくちょく顔も出すつもりでいたのに。お母さんは孫の顔も見なくていいのね」、
娘はそう言い捨てるとそのまま出て行ってしまったのです。

帰宅した主人にそのことを話すと、「しばらく放っておけばそのうち機嫌も直るだろう」と言われました。
でも彼女が主人に似てとても頑固だということを、わたしがいちばんよく知っています。