娘の話にも出てきた、バリ島の伝統文化。

最近趣味で絵を描いているわたしとしては、特にバリ島独自の絵画に大変興味があります。

16世紀後半、ジャワ島でイスラム勢力との戦いに敗れ、バリ島に逃れてきたマジャパイト王朝。
その王宮の装飾絵画として発達したのが、バリ島絵画の原点と言われています。

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洗練された王朝文化の影響を受けたバリ島絵画は、ヒンドゥーの神々や古代インドの叙事詩「ラーマヤナ」「マーハバラタ」がテーマになっおり、さらにヒンドゥ・バリの祭礼や儀式などに使用される伝統的奉納芸能のひとつとして伝承されてきたため、西欧の純粋な芸術とは異なります。

ちなみに当時から伝わる「カサマン・スタイル」という技法は、なんと四世紀近くも続いているのだとか。
黒・白・黄・青・茶色の5色を使って描かれる平面的な絵画は、なんとも美しくそして神秘的です。

そしてそんなバリ島絵画に大きな転換期が訪れたのは、西洋絵画に出会った1920年代。
当時ウブドの領主だったチョコルダ・スカワティ一族に招かれたドイツ人画家のワルター・シュピースとオランダ人画家ルドルフ・ボネらにより、芸術家協会「ピタ・マハ(偉大なる光という意味だそうです)」が設立されたのがきっかけだそうです。

その後、バリ島という楽園に憧れて移り住んできた西洋人たちが地元の芸術家たちと交流し刺激を受け合いながら、バリ島絵画を国際的な芸術にしていきました。
今日のウブド・スタイルやバトゥアン・スタイルは、こうした背景から生まれたもの。

さらに第二次世界大戦後にはオランダ人画家アリー・シュミットの指導により、農村の生活風景をテーマにしたヤングアーティスト・スタイルが誕生します。
ちなみにわたしが好きなのは、花・鳥をテーマにしたプンゴセカン・スタイル。
1970年代に誕生した、比較的新しいスタイルです。

もちろんどのスタイルも印象的で美しく、それぞれの技法は一見の価値があります。
もしバリ島に移住したら、こんな素晴らしい芸術を身近に感じることができるのですね。