口論になって以来、兄とは話もしていません。

妹からはあれから何度か電話があり、その度に「何か進展はあったか」と訊かれました。
わたしたちの間に挟まれて、妹も辛い思いをしていることでしょう。
それを思うと申し訳ない気持ちになりますが、今は頑固な兄と再び話し合う気持ちにはどうしてもなれません。
わたしが何を言っても「お前は自分勝手だ」と責められるだけです。
兄の中では、バリ島へ移住することは日本にあるすべてのものを置き去りにしていくのと同じことなのです。

もちろん、兄の気持ちは分かります。
わたしも最初はそう思っていましたから。
でも、ロングステイのためのセミナーに参加したり実際に海外で老後を過ごしていらっしゃる方々のお話を聞いたりして、海外移住は自分が思っているほど「大変なこと」ではないと理解することができたのです。
国内のようにすぐに帰れるわけではないけれど、かと言ってものすごく遠いわけでもない。
バリ島からは日本までの直行便も飛んでいるし、チケットさえ手配できればすぐに帰国できるのです。

 

それに海外に住んでいるからと言って、家族をないがしろにするつもりはありません。
母のことはもちろん、成人したとはいえ娘のことも心配です。
親戚行事などにもできるだけ参加したいと思っていますし、もし母に何かあったらすぐにでも飛んで帰ってきたいと思います。

そのことを兄にも分かってもらいたかったのに、まったく聞く耳持たずで・・・。

やはり、主人から兄にもう一度話してもらった方がいいのかもしれません。
わたしだとどうしても感情的になってしまうので。

とは言えわたしの家族の問題に、主人を巻き込むのはとても心苦しいです。
いっそ母に話して、母から兄を説得してもらった方が良いでしょうか。
でもそんなことをしたら、それこそ兄の立場をないがしろにしてしまうことになります。
兄は母のために、わたしたちの移住計画に反対しているのですから。

いったいわたしはどうすれば良いのでしょうか。
堂々巡りばかりで、解決の糸口さえ掴めません。