インドネシア、バリ島で不動産投資やビジネスを行う上で、インドネシアの法律を知ることは大切です。
私たちもバリ島でビジネスを始めた時、何かと弁護士やノタリスに相談したものです。
しかし、実際にバリ島でビジネスをしてみると法律通りにいかないことが多いことに気がつきます。
警察や役所へのワイロなどもそうですが、もっと根本的な不動産の売買や権利関係などでも起こるのです。
その理由をはじめは「インドネシア人は日本人と比べて法意識が薄いから」と思っていましたが、インドネシアと関わって20年近くなり、その背景にあるインドネシア人の法意識、法文化について少し分かるようになりました。
そこでインドネシアの法律について触れます。

 

インドネシアには、3つの法律がある

インドネシアの法律は、日本人には分かりにくいです。
その理由は、国の法律、宗教上の法律、地域の慣習法、の3つがあり、内容によってどれが最も強い効力があるのかが外国人には分かりにくいからです。

国の法律は、いわゆる国家法です。私たちが一般的に法律という時はこれを指します。
インドネシアの国会の作り、文章にし、制定されるものです。
これには、民法、商法、刑法、経済法など多くの行政法が含まれています。

宗教上の法律は、宗教の教義に基づく人々の法的規範です。インドネシア人の多くがイスラム教のため、宗教法は基本的にイスラム法です。
インドネシアという国は多くの島があり、ヒンズー教徒、キリスト教徒、仏教徒もいますが、イスラム教徒以外はその生活において宗教法の影響を受けていません。
ですからイスラム教徒におけるイスラム法だけが、インドネシアで効力がある宗教法となります。

上記の2つの他に、地域の慣習法があります。
これはオランダ人がインドネシアを植民地化する前からそれぞれの地域にあった法律です。慣習法は、国の法律や宗教法とは関係なく、多様なインドネシア社会、それぞれのコミュニティで先祖代々受け継がれてきた習慣の中で出来上がってきたものです。

争いが起きて裁判になると、裁判官は内容によって国の法律、イスラム法、慣習法の中から適切な法を選択し裁きます。
とはいえ、それぞれの法律がカバーする範囲はある程度あります。
イスラム法・・・イスラム教徒における結婚、離婚、相続など。
慣習法・・・・・土地の管理、土地の権利、相続。村の共有地の権利、管理。
小さな事件(窃盗、傷害など)
国の法律・・・・上記以外のこと。

イスラム法と慣習法は競合する場合があるが、その場合は裁判官が判断します。
ただ、原則として土地の権利や相続に関しては、慣習法が適用される場合が多いです。

 

ワイロについて

最後にワイロについて、触れておきます。

インドネシアにいると、もちろんバリ島でもなんだかんだとワイロを要求されます。

はじめは嫌な気持ちになったものですが、もちろん今でも嫌なのですが(笑)、

バリ島でビジネスをしているとワイロの意味というか効力も少しだけ理解できるようになりました。

結局のところ、インドネシアという国は、法制度が十分に機能していないのです。

そうした中で、ちょっとしたことでいちいち争っていると解決しません。

そこで様々なことを円滑に進めていくのにワイロが役に立っているとも言えるのです。

いずれはインドネシアも法整備がされ、法律によって円滑な行政が行われることになるでしょう。

しかし、現実の問題として、目の前の生活やビジネスはあるわけで、法の機能を待っているわけにもいきません。

決してよいことではないのですが、インドネシアでは法の機能不全を補う役割として、ワイロを理解し、進めていくことが必要な場合も多いのです。

ワイロは、我々外国人だけでなく、インドネシア人も上手く使って生活しています。

郷に入っては郷に従え、というわけでインドネシアでビジネスをする上でワイロは必要不可欠とも言えるのです。